これまでの説明を読んでいただいた方には、
「インプラントって自分の歯とほとんどかわらないんじゃん」
「インプラントと自分の歯はどこが違うの?」
と思われる方もいらっしゃるかと思います。
第2の自分の歯と言っても過言ではないほど、多くのメリットを持っているインプラントではありますが、残念ながら、インプラントは自分の歯には勝てませんし、自分の歯に勝るものはありません。
その最大の違いはインプラントと自分の歯の周辺の組織にあります。
自分の歯とインプラントとの最大の違いは「歯根膜」という組織なのです。
それを詳しく見てみましょう。
- 歯根膜がない(骨と直接接触する)
- 歯根面に対して線維の走行は水平
- 2方向の血液供給(歯ぐき、骨)
- 歯根膜がある
- 歯根面に対して垂直な線維がある
- 3つの方向から血液供給がある(歯ぐき、骨、歯根膜)
自分の歯には歯根膜がありますが、インプラントには歯根膜がありません。
自分の歯は直接、骨と結合しているのではなく、歯根膜に覆われているのです。
それに対し、インプラントは歯根膜がなく、直接、インプラントと結合しています。
歯根膜は歯に衝撃などが加わった際のクッションのような役割を果たします。また、センサーの役割も果たし、歯に大きな衝撃が加わったときにそれを脳に知らせ、その衝撃を回避する役割もあるのです。
歯根膜がないインプラントはクッションの役割を果たす歯根膜がないので、衝撃をもろに伝えてしまうという欠点があります。そのため、咬み合わせの調整がしっかりと出来ていない場合には、反対の歯やインプラント自体を痛めてしまう原因となる場合があります。
また、インプラントには線維の走行は垂直に走行しないこと(Buser D 1993)、血液の供給も2方向(骨と歯ぐき)と少ないので、感染に対する防御反応も劣ることも示唆されています(Ericsson 1992,Lindhe 1992, marinello1995)。
また、Buser D (1993)らによって線維の走行は上部から見ると輪状にインプラント体を取り囲むように走行していることが報告されています。
以上のようにインプラントは自分の歯に比べると、感染に弱いので、長く持たせるにはしっかりとしたブラッシングと継続的な定期健診の受診が必要になります。
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